行く道だもの

朝8時前、駅の改札口を通ってすぐのコンビニは賑わう。

 

狭い店内は所狭しと商品棚が並び、それが壁になって一番奥の様子は見えない。

 

レジは2つ、入り口右側奥と手前。

 

私の順番が来て、入口奥のレジ前へ。

 

私の前の方は数秒早くレジを終え、近い入口から小走りに去って行った。

 

入れ替わるように入店して来た年配の男性が、商品を持ってすっと空いたレジ前に立った。

 

私と男性が並んだ。

 

するとその瞬間、

 

「俺の番だぞ、並んでるのがわからんのか!じじい!」

 

と、私の後ろから大きな影が年配の男性を肘で弾いた。

 

私はびっくりして隣を見た。

 

大きなリュックを背負った、長身の30~40代の男性。

 

先にも書いた通り、ここの店の奥は全く見えない。

 

慣れていない人が、店の奥でレジ待ちの行列があることなど絶対分からないのだ。

 

年配の男性は、「アッ見えなかった、すみません」

 

と、後ろへ回った。

 

それでこの場は収まった?かのように思えた。

 

しかし(見ず知らずの人に「じじい」はないだろ!)と

 

悶々としていたら、

 

「見えんかったら外に出るな!ふらふら歩くな!じじいのくせに!!」

 

と、言い放って出て行った。

 

年配の男性が何か言い返したように思うけど、あまりのショックで覚えていない。

 

とたんに、中年を追いかけ胸ぐらをつかみ、年配の男性のところまで引きずって

 

「さっきの暴言を謝りなさい!」と言った。

 

と、空想しつつ、悲しくなった。

 

たかがレジを間違えたくらいでなんでこんな嫌な事が起きるのか。

 

七夕の日の願い事

 

「もっと優しい世の中になりますように」

 

 

 

 

子供叱るな 来た道だもの 年寄り笑うな 行く道だもの

 来た道 行く道 二人旅 これから通る 今日の道

 通り直しの出来ぬ道 」

 

 

 

 

いっしょに ゆっくり poco a poco